中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

京劇臉譜図鑑 三国志

2023/08/14更新

 

 今回は「三国志」の登場人物たちの臉譜について。

 

 

関羽

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関羽
紅整臉
 義に厚い。その厚さゆえに臉譜も真っ赤。
赤を顔全体に塗ってから黒の油絵の具で眉やシワを描きます。
「美髯公」の名の通りトリートメントされたようなしっとりサラサラの長い髯をつけます。 行当は専任で「紅生」といいますが、武生や文武老生あたりの主役をはる俳優が演じています。

関羽が登場する「紅生戯」はこちら

 

張飛

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張飛
黒十字門蝴蝶臉
十字に仕切られた顔、ニコニコしているような目元に蝙蝠(中国では 「蝠」と「福」が同じ発音であることから縁起物)が飛んでいるような眉。これらが蝶のような形に見えます。中国では人気があり、登場する芝居が多く、動きの多い做工花臉が演じます。

 

周倉

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周倉
瓦灰花元宝臉
関羽の忠実なる部下。関羽のそばには欠かせないキャラ。
京劇《華容道》では関羽関羽の息子である関平周倉の三人で 「これでもかあ!」という勢いの亮相を決めまくり、 逃げに逃げてヨレヨレになっている曹操たちを威嚇します。

京劇《華容道》はこちら

 

龐統

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龐統
紫道士臉
臥龍(眠れる龍)と言われた諸葛亮と並んで、 鳳雛鳳凰の雛)と言われた龐統
赤壁之戦』で曹操に「連関の計」を授ける場面があります。《群英会》《草船借箭》《借東風》《華容道》と上演されることが多く、実際の芝居では見かけたことがありませんが、音配像シリーズではその姿を見ることができます。

 

太史慈

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太史慈
緑砕花臉
京劇《群英会》では、周瑜の傍らにいて宴席で「戦のことを持ち出すヤツがあれば斬れ」と命じられると、曹操へ投降するよう説得に来た蒋幹に向って刀を引き抜き 「うがあ~!」と食いつかんばかりにひとにらみ。 その威嚇に蒋幹は震え上がります。
派手には出ないが派手な顔のインパクトのあるキャラ。

京劇《群英会》はこちら

 

韓当

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韓当
 孫堅孫策孫権と 呉三代に渡って仕えてきた家臣。
残念ながら芝居で実際に見た覚えがないです。

 

典韋

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典韋
黄花三塊瓦臉
八十斤の双戟を振るう曹操の側近警護。
京劇《戦宛城》ではいったん投降した張繍の計略にはまって壮絶な死を迎える、この芝居では重要なキャラ。

 

夏侯惇

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夏侯惇
 藍尖三塊瓦臉
曹操の従兄弟で、早くから曹操に仕えた隻眼の将軍。戦いの最中に左眼に矢が刺さり、それを目玉ごと引き抜いて「父母からもらった大切なものだ」と言って喰らったというすごいエピソードを持っています。
京劇《博望坡》に登場。 この戦いは劉備の天才軍師・諸葛亮のデビュー戦。もともとあった《三顧茅廬》と《博望坡》のふたつの芝居をもとに中国京劇院が1958年に改編した芝居《初出茅廬》で見たことがあります。ちゃんと黒い眼帯をしてました。片目が見えないと距離感が掴めないもの。ちょっとハラハラしながら立ち回りを見た覚えがあります。

 

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