2024/07/03更新
響く太鼓に込められる
奸臣・曹操への非難と怒り
あらすじ
後漢末。
国の威信と皇帝の権力が弱まるとともに軍事力をもって台頭して丞相となった曹操。
才がありながら仕官していない処士として名高い禰衡は、儒学者で政治家の孔融から曹操へ推挙される。
対面した曹操におもねることなく禰衡は反感を隠さない。
曹操は臣下たちを招いて開かれる宴席で禰衡を太鼓打ちに任命して辱しめようとする。
禰衡は衣服を脱いで太鼓を叩き、群臣の面前で曹操を非難する。直接手を下すのを憚った曹操は、敵対していた劉表のもとへ禰衡を遣わせる。
禰衡 老生
孔融 老生
張遼 老生
曹操 浄
みどころききどころ
曹操をはじめ従う諸将までをも罵倒する禰衡。
宴席に招かれるわけではなくその場を盛り上げる太鼓打ちとして屈辱的な立場にある禰衡は、みすぼらしさを表すつぎはぎの衣装をまとって登場。出で立ちを咎められ、衣類を脱いだ姿で再登場。
「三通鼓」と曲牌「夜深沈」と共に太鼓を叩く場面は盛り上がりを見せます。ちなみに曲牌「夜深沈」は京劇《覇王別姫》虞姫の剣舞の場面で有名です。
老生の唱と技を堪能できる芝居。
「禰衡!」
「曹操!」
「なぜ呼び捨てにするのだ!」
「呼び捨てにされたから呼び捨てたまでだ!」
禰衡の太鼓を叩く場面はみどころデータ
別名《群臣宴》、《東郊送衡》。
余叔岩、言菊朋、貫大元、奚嘯伯が得意としていた演目。特に楊宝森が演じたのが有名で楊派(楊宝森)の代表作。
天津の楊派老生・張克が演じています
曹操の複雑な心理と悲劇を描く名作