放蕩無頼の身から心を入れ替え
故郷に錦を飾る青年
《打侄上墳》
あらすじ
陳大官は幼いころに両親を亡くし、叔父の陳伯愚に引き取られて育てられた。
陳大官は悪友にそそのかされて陳伯愚に分家を迫り、受け取った半分の家財を酒色におぼれて全て失い物乞いになってしまう。
一年後、災害により陳伯愚は備蓄していた糧食を一般に開放する。訪ねてきた陳大官に陳伯愚は怒って打ち据える。陳伯愚の夫人・安人は密かに金銭を与えて陳大官を逃がす。
ひどく後悔した陳大官は清明節の折、両親の墓参りに訪れる。陳伯愚と安人の夫妻が訪れると、墓の前に紙銭を燃やした灰があり、陳大官によるものと知る。陳伯愚は陳大官の孝行心に深く感じ入り、家に連れて帰るのだった。
陳大官は心を入れ替えて勉学に励み、後に官吏登用試験を受けて首席の状元となる。
陳伯愚 老生
陳大官 小生
安人 老旦
張公道 丑
朱参 丑
ポイント
「小生」が演じる陳大官は、貧しさを表すつぎはぎだらけの衣装「富貴衣」をまとっており、メイクはほぼ白塗り。
放蕩の限りを尽くして因果応報、滑稽さもあり哀愁を感じさせ、老生が演じる真面目な陳伯愚のやりとりでそれが際立つ。
データ
別名《状元譜》。老生と小生の芝居。
譚鑫培(1847-1917)、余叔岩(1890-1943)、姜妙香(1890-1972)、葉盛蘭(1914-1978)が得意とした。
「富貴衣」を女性がまとっている芝居はこちら