厄除けの神となった鍾馗さま
妹を恩義ある友のもとへ嫁入りさせる物語
崑曲《鍾馗嫁妹》1985年資料映像
厲慧良(当時62歳)が演じる鍾馗さま
崑曲《鍾馗嫁妹》
天津京劇院 鍾馗:黄斉峰
あらすじ
唐代。科挙で進士に受かった鍾馗は都へ赴く道中、病に憑りつかれる。
鍾馗は熱に浮かされて誤って鬼の巣窟へ迷い込んでしまい、醜い姿に変えられてしまう。
鍾馗の姿に驚いた皇帝は首席である状元の資格を剥奪してしまう。鍾馗は恥ずかしさと憤りのあまり門に身を打ちつけて自害する。
死後、優秀な鍾馗は玉帝により魔よけの神として任じられる。
鍾馗は自分の遺体を埋葬してくれた学友の杜平に恩義を感じており、かつて交わした妹を嫁がせる約束を果たすため、あの世から手下の鬼たちを引き連れて妹を迎えに行く。
鍾馗は妹を杜平のもとへ送って行き、ふたりの結婚を見届けるのであった。
主な登場人物と役柄
鍾馗 浄または武生
鍾妹(鍾馗の妹) 旦
杜平(鍾馗の学友) 小生
梅香(杜平が鍾馗の妹のもとへ遣わした小間使い) 旦
驢夫鬼
大鬼
灯鬼
担子鬼
傘鬼
データ
張心其《天下楽》伝奇の一折。
崑曲、京劇の伝統的な演目で、1950年代に京劇武生の名優・厲慧良(1923-1995)に手を加えられて演じられている。
「科挙」とは隋・唐の頃から清末まで続いた官吏登用試験。
ものすごくざっくりと説明すると内容は四書五経の暗記や詩文の才能が求められるほか、歴史、政策的な小論文などで、試験は地方から中央へ段階を踏んで最後に皇帝が直接対面して行われます。
受験は個室で数日間にわたる過酷なもので合格率は非常に低いものの、合格すれば官僚として高い社会的地位が得られる大きな機会でもありました。
「科挙」の合格者「進士」で首席の「状元」だった鍾馗さま。病に臥せった玄宗皇帝の夢に現れて疫病神を退治したことから神として祀られて、日本でも厄除けの縁起物として飾られる風習が広まっています。
鍾馗さまの臉譜や衣装、お供の鬼たちの役割や動きも非常に独特でそれについてもまた後の機会に触れたいと思います。

迫力あり愛嬌もあり美しいです
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