中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

京劇演目紹介《響馬伝》(三家店・秦瓊観陣・打登州)

緑林の英雄たちが

捕らえられた仲間を救い出す

 

 

京劇《響馬伝》

 京劇《響馬伝》は劇作家・翁偶虹(1908-1994)が京劇《賈家楼》(別名《三十六友》、《五面枷》)、《打登州》や評書《響馬伝》などをもとに「武南庄」の場面を加えて晋劇、河北梆子《秦瓊観陣》の内容を取り入れて翻案したもの。

 

 

 李少春(1919-1975)が演じる「秦瓊」と袁世海(1916-2002)が演じる「程咬金」をメインに1959年、中国京劇院が上演。

 

 ちなみに「響馬」は強盗のことを指し、「響馬子」は盗賊、馬賊のこと。

 

 

主な登場人物と役柄

 秦瓊 老生

 程咬金 浄

 尤俊達 浄

 徐世芳(県官) 丑

 単雄信 浄

 徐茂公 老生

 楊林 浄

 王伯当 生

 謝映登 生

 魏征 老生

 羅成 小生

 史大奈 浄

 王周(羅周・王舟) 生

 

焼餅売りに扮する単雄信
焼餅を載せる盆の裏には「救」の一文字

 

《三家店》

 秦瓊は羅周に護衛されて登州へ向かう途中、三家店に宿をとる。そこで秦瓊と縁続きであることを知った羅周は、秦瓊を救出しようと考える。

 反政府軍・瓦崗寨から派遣された史大奈と協議して、羅周は瓦崗寨に手紙を書き、八月十五日に政府軍の指揮官・楊林を攻撃することに合意して協力することになる。

 

《秦瓊観陣》

 政府軍の指揮官・楊林は瓦崗寨の反乱軍の一網打尽をもくろむ。

 秦瓊は羅周と共に偵察に向かい、楊林の敷いた陣形を見切り、罠が仕掛けられた橋や練兵場に配置する大量の伏兵をあやつる作戦を見極める。

 

京劇《秦瓊観陣》

王平が演じる秦瓊

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《打登州》

 瓦崗寨の英雄たちは、それぞれが身をやつして登州へ潜り込み、護送中の秦瓊と接触を図る。

 瓦崗寨の英雄たちの一網打尽を企む楊林は、練兵場にたくさんの兵馬を潜ませ、紅灯を用いて指示を送って自在に動かそうとする。

 作戦を見切っていた秦瓊は、弓の名手・王伯当に紅灯を射落とさせる。

 英雄たちはこの機に乗じて楊林を討ち、秦瓊を救出する。

 

データ

 またの名を《射紅灯》。「倒銅旗」伝奇にあり。

 川劇、徽劇、湘劇、滇劇、漢劇、豫劇に《夜打登州》、秦腔、河北梆子に《男起解》、
蒲劇に《観陣》の演目がある。

 

京劇《打登州・救秦瓊》選段

耿其昌が演じる秦瓊

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 両手に枷をはめられて護送される秦瓊。

 瓦崗寨の仲間たちの徐茂公は占い師、尤俊達は馬、単雄信は膏薬、羅成は書画、程咬金は焼餅を売り歩く者にそれぞれが身をやつして登州へ潜り込み秦瓊と接触しますが皆素知らぬ振り。

 罪人に関わるのはごめんだと通り過ぎていく中、去り際に程咬金が秦瓊へ向けて見せた焼餅をのせるお盆の裏には「救」の一文字。

 

ほかの『説唐』『隋唐演義』もの