宋の名将・楊家一族の物語
老生がメインの芝居で、主演俳優が通しで前半の《李陵碑》で楊継業、後半の《清官冊》で寇準を演じることが多いです。
杜鎮傑が演じる楊継業
《李陵碑》
あらすじ
宋代。
侵攻してきた遼に対して、元帥の潘洪は楊継業に先鋒を命じる。楊継業は六郎(六男・楊延昭)と七郎(七男・楊延嗣)を率いて出陣する。
両狼山で遼軍に包囲された楊継業は、七郎に包囲を突破させて援軍を求める。
潘洪は子の潘豹を楊七郎に殺された仇から援軍を送らず、宋に叛いたとして矢を射かけて七郎を殺してしまう。
七郎が夢枕に立った楊継業は、六郎に事態を探るよう命じて包囲を突破させる。
一向に援軍は来ず、寒さと飢えで苦しみ、迷い込んだ廟に立つ李陵の碑に楊継業は頭を打ち付けて死んでしまう。
楊継業 老生
楊七郎 浄
楊六郎 老生
潘洪 浄
データ
またの名を《両狼山》、《托兆碰碑》。
老生がメインの芝居。譚鑫培、余叔岩、楊宝森の代表作。
李陵と蘇武
前漢と匈奴の対立を巡り、匈奴で抑留された李陵と蘇武のふたりは対照的。
匈奴に帰順して重用され、武勲を立てて匈奴の地で生涯を終えた李陵。
一方、頑なに拒否した蘇武は移送先で放牧生活を送った後、帰国を果たして前漢に再び仕えた。
《清官冊》
あらすじ
潘洪が国を売り、楊家一族を陥れた罪状を告発した楊延昭(楊家の六男)は、潘洪を捕らえて都へ送る。
潘洪の娘・潘妃から賄賂を受け取っていた劉御史は八賢王により罰せられて、霞谷県令の寇準が御史に昇格して潘洪の再審をすることとなる。寇準は潘妃から賄賂を贈られるが応じず、八賢王に報告する。
八賢王は寇準の後ろ盾となり、潘洪に自供させるため一計を案じる。
偽りの「あの世」を演出して夜中に潘洪の裁判を行うと、潘洪は白状して罪を認める。
寇準 老生
潘洪 浄
データ
またの名を《審潘洪》、《夜審潘洪》、《霞谷県》、《昇官図》。
馬連良、言菊朋、楊宝森がそれぞれの持ち味の唱で演じられている。
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