中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

簡単解説:京劇の演技と舞台 音楽 楽器

2023/06/23更新

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 京劇の演技、舞台、音楽、楽隊などすべてにわたって程式(決まり)化しています。

 

 

演技と舞台

 伝統的な京劇の舞台は大掛かりなセットはなく、すべてが人に集約されています。

 例えば「馬」の表現は、「馬鞭」という50センチくらいの棒に房がついているものを用います。それは鞭だったり、馬そのものを表します。馬を連れてくる、乗る、走らせる、馬から下りる、などはすべて馬鞭を使って決まった動きで表現されるのです。

 動きはわかりやすく美しく形式化され、舞台は約束事により時間と空間を超越して表現しています。実物を用いずに表現する写意性、人間の持てるすべてを使う総合性などが特徴です。

 

音楽

 地方によって異なっており大きく分けて系統は二つ、北と南です。簡単に言うと北は高音でテンポが激しく、南は低音でゆったりしたリズムです。

 京劇には主に「西皮」と「二黄」と言う二つの節があります。京劇が「皮黄戯」と呼ばれる所以です。「西皮」は快濶で激しい感じ、「二黄」は落ち着いた静かな感じです。

 四分の二拍子を「原板」、四分の四拍子を「慢板」というようにリズムによって呼び名があります。「西皮」の四分の四拍子なら「西皮慢板」、「二黄」の四分の二拍子なら「二黄原板」。

 「西皮」と「二黄」の他にもいろいろあり、それぞれ基本的な前奏や間奏は決まっています。行当(役柄)をはじめとして芝居や流派、俳優によってつけられる味の違いによって微妙に異なります。

 

楽器

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単皮鼓 壇板 鐃鈸 京胡 月琴

 

 鼓板、小鑼、大鑼、鐃鈸の打楽器の楽隊は立ち回りの場面での中心となることから「武場」、京胡、京二胡、月琴、三弦の弦楽器と管楽器の笛、笙、嗩吶、海笛子、雲鑼などの楽隊は唱や仕草の場面で中心となるので「文場」と呼ばれます。

 「武場」のメインが鼓板、つまり単皮鼓と檀板です。バチで叩く単皮鼓と片手で鳴らす檀板はセットで使い、いずれも上手くないといい音は出ません。「鑼鼓経」という決まった叩き方があります。

 鼓師は指揮者の役目をしていますが、音楽だけではなく芝居にとって重要な「間」を作り、芝居そのものにリズムを与えています。

 

 

 「文場」のメインは京胡です。直径5センチくらいの竹の筒に竹の軸が付いており、弦は二本で、馬の尻尾で出来た弓をその間に挟み込みます。手前の内弦は低い方の音、外側の外弦が高い方の音です。

 京劇の主な二つの節「西皮」と「二黄」で筒の大きさが違います。「西皮」用のほうが少し小さいです。

 弦に指をあてない状態で「二黄」は内弦をソ、外弦をレ、「西皮」は内弦をラ、外弦をミ、「反二黄」は内弦をド、外弦をソに見立てます。しかしこれは絶対音感ではなく、俳優のノドに合わせて調律します。

 一般に使用する楽譜は「簡譜」と言ってアラビア数字で記されているものを使用しています。1=ド、2=レ、3=ミ、4=ファ、5=ソ、6=ラ、7=シとなり、オクターブが上がると数字の上、下がると下に「・」がつきます。一唱節は線で仕切られ、装飾音は右上に小さく書かれています。

 わたしが京胡を習い始めた頃は簡単な「曲牌」を練習しました。例えば「小開門」という曲は《空城計》で老兵が門を掃除するとき、「哭皇天」という曲は《楊門女将》で穆桂英の夫・楊宗保の葬儀のときに弾きます。曲牌はさまざまあって、京劇より古い歴史を持つ崑曲がもととなっています。

 

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