中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

京劇演目紹介《荒山泪》Huangshanlei

のしかかる重税と一家離散の悲劇

無辜の民の姿を描く程派(程硯秋)の名作

 

《荒山泪》Huangshanlei

 

 

あらすじ

 明朝。

 河南済源県の農民・高良敏は重税が払えず息子の高忠と共に収監される。

 息子の嫁の張慧珠は絹を織り、孫の高宝璉が売り歩くことで罰金を払って釈放される。

 ようやく一家団欒でいるところ、近隣に住む鮑世徳から更に重税が課されることを知らされる。高良敏と高忠は金策のため、薬草を採りに山奥に入るが、ふたりとも虎に襲われて喰われてしまう。

 高良敏の妻・陳氏は驚きと悲しみのあまり亡くなってしまい、高宝璉は賦役のため連れ去られて張慧珠ひとりが残される。

 役人からひっきりなしに税の取り立てがあり、張慧珠は心が病んで山深く逃れる。役人に追い詰められて張慧珠は自ら命を絶ってしまう。

 

登場人物

 高良敏 Gao Liangmin (農民) 生

 陳氏 Chenshi (高良敏の妻) 老旦

 高忠 Gao Zhong (高良敏の息子) 生

 張慧珠 Zhang Huizhu (高忠の妻) 旦

 高宝璉 Gao Baolian (高忠の息子) 娃娃生

 鮑世徳 Bao Shide (高良敏を兄と慕う近隣者) 老生

 

重税に苦しめられて役人に追い詰められる張慧珠
纏っているのは「富貴衣」

 

ポイント

 別名《祈祷和平》。

 1931年に金仲蓀(1879-1945)が脚本、程硯秋(1904-1958)主演よにり北京・中和戯院で初演。1956年に映画化されており監督は呉祖光(1917-2003)。

 山奥に逃れた張慧珠は「富貴衣」という衣装を纏うが京劇の女性役では初めてとなる。黒地に継ぎはぎのような装飾を施した衣装でみすぼらしい貧しさを表す。将来高貴になることを示すことに由来。

 

鑑賞

 京劇《荒山泪》

 程硯秋の弟子・趙栄琛(1916-1996)から直接指導を受けた張火丁が演じています。

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