裘盛戎(1915-1971)の生誕100周年記念公演のプログラムのひとつ、京劇《鍘美案》をどうぞ。
「唱」をメインとする花臉の役者といえば裘盛戎。梅蘭芳(1894-1961)と共演した《覇王別姫》が評判で「金覇王」と呼ばれた金少山(1889-1948)に次ぐ世代の第一人者です。
京劇《鍘美案》は宋代の名裁判官・包拯(ほうじょう)の芝居です。包拯は清廉潔白な官吏として有名で庶民に大人気。「唱」(うた)がメインの花臉の役柄といえば包拯の芝居「包公戯」です。
《鍘美案》の「案」とは裁判事件のこと。「鍘(サツ)」は押し切る、押し切る道具のことをいいます。
「美」とはこの芝居の登場人物、陳世美。官吏登用試験「科挙」の首席合格者「状元」です。陳世美は状元になった後、故郷に残してきた妻と子どもを捨てて皇族に婿入りしてしまいます。夫の消息を訪ねてきた妻と子どもを殺そうした陳世美を包拯が裁きます。
花臉がメインの《鍘美案》をもとに改編されたのが《秦香蓮》です。馬連良(1901-1966)、譚富英(1906-1977)、張君秋(1920-1997)、裘盛戎の四大看板役者が演じた北京京劇団の代表作のひとつです。
「秦香蓮」とは陳世美に捨てられた妻の名前。秦香蓮の役を張君秋、包拯の役を裘盛戎が演じています。
その流れを受け継ぐノドの良さでは本当に間違いない孟広禄と王蓉蓉。包拯の役は孟広禄、秦香蓮の役を王蓉蓉が演じています。
CCTV戯曲
20150815空中劇院 記念裘盛戎誕辰100周年京劇折子戯専場
京劇《鍘美案》51分20秒
クリックするとふたりの唱のクライマックスからご覧になれますがぜひ最初からどうぞ。
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