2024/04/27更新
茶館を営む女主人は仮の姿
敵を欺き一網打尽
革命現代京劇《沙家浜》Shajiabang
あらすじ
「新四軍」の正式名称は「国民革命軍新編第四軍」。日中戦争（1937-1945）において成立した中国共産党軍が基幹の国民軍。
沙家浜で茶館を営む阿慶嫂は中国共産党員であり、地元民と連携して新四軍の指導員・郭建光が率いる傷病兵たちを密かに迎え入れる。
忠義救国軍の司令・胡傳魁と参謀長の刁徳一は、日本軍と裏でつながっており新四軍の傷病兵らの行方を追っていた。
胡傳魁らは葦が生い茂る湖を捜索するため、地元民に強制して漁船を出させようとする。阿慶嫂は傷病兵らに状況を知らせるため、とっさに湖へ麦わら帽子とレンガを投げ入れる。何者かが逃げて飛び込んだと思い込んだ救国軍の兵らがに発砲し、銃声を聞いた郭建光は事態を察して警戒を強める。
医者に扮して茶館を訪れた県書記の程謙明から情報を得た阿慶嫂は、傷病兵を紅石村へ移送させる。
傷病兵を見つけられない胡傳魁らは、沙家浜の民兵らを捕らえるが沙奶奶は拷問にも屈することなく抵抗する。
回復した新四軍の傷病兵らは郭建光の指導の下、主力部隊と合流する。胡傳魁の結婚披露宴が催される折をついて奇襲をかけ、一網打尽にする。
主な登場人物
郭建光 Guo Jianguang
新四軍の指導員。療養のため傷病兵を率いて沙家浜に滞在。中国共産党員の阿慶嫂と沙家浜の地元民と連携して日本軍とつながりのある偽の忠義救国軍を打倒する。
阿慶嫂 Aqingsao
中国共産党の連絡員。表向きは沙家浜で茶館を営んでいる女主人。沙家浜での新四軍の傷病兵の療養を補佐する。
沙奶奶 Shanainai
沙家浜の地元民。新四軍の傷病兵らの療養を受け入れて親交を深めていく。日本軍とつながっている胡傳魁らから追求を受けるも断固として撥ねつける。
程謙明 Cheng Qianming
中国共産党常熟県委書記。郭建光と阿慶嫂を引き合わせ、本隊と連携をとる。
沙四龍 Sha Sirong
沙奶奶の息子。沙家浜の民兵だったが、のちに新四軍へ参加する。
胡傳魁 Hu Zhuankui
裏で日本軍とつながっている"偽”忠義救国軍の司令。かつて日本軍に追われていたところを阿慶嫂に匿われた経緯がある。
刁徳一 Diao Deyi
”偽”忠義救国軍参謀長。猜疑心が強く阿慶嫂を怪しむ。日本への留学経験がある。
黒田 Heitian
日本軍大佐。胡傳魁らに新四軍の傷病兵を捕らえるよう指示を出す。
みどころききどころ
傷病兵を率いる郭建光の唱や立ち振る舞いをはじめ、最後の戦う場面など目白押しではありますがなんといっても第四場の「智斗」が有名です。
かつて敵に追われていたところを匿ってくれた阿慶嫂と親しく口をきく胡傳魁。それとは対照的に阿慶嫂を何者かと疑い鋭い眼光を放つ刁徳一。その気配を察知してあくまでも気丈にふるまう阿慶嫂。
緊張感あふれる唱のローテーション。入れ替わり立ち代わりモノローグのようにそれぞれの心中をうたいあげます。
当時タバコは嗜好品で貴重品。1本どうですかと差し出すのが礼儀でもありました。阿慶嫂は茶館の女主人らしく胡傳魁と刁徳一のふたりにタバコをすすめて火をつけます。かつて舞台では本当に火をつけてタバコをふかしながらうたっていたのが印象的です。
データ
北京京劇団制作の革命現代京劇。
汪曾祺、楊毓珉、肖甲、薛恩厚により上海市人民滬劇団の現代滬劇《蘆蕩火種》を改編。
鑑賞（１）
1971年制作
北京京劇団
キャスト
郭建光：譚元寿
阿慶嫂：洪雪飛
沙奶奶：万一英
程謙明：賀永瑛
沙四龍：張敦義
刁徳一：馬長礼
胡傳魁：周和桐
第一場 接応
新四軍の傷病兵を迎え入れる阿慶嫂たち
第二場 転移
沙家浜の地元民と親交を深める新四軍
第三場 構結
日本軍と裏でつながっている忠義救国軍
第四場 智斗
忠義救国軍による沙家浜での捜索
第五場 堅持
阿慶嫂がしむけた銃声を聞いて警戒する新四軍の傷病兵たち
第六場 授計
医者に扮して診察にきた程謙明から情報を得た阿慶嫂
沙四龍が船の下に隠れて傷病兵らのもとへ紅石村に移るようひそかに伝えに行く
第七場 斥敵
傷病兵が見つけられず沙家浜の民兵を捕らえる忠義救国軍
拷問に屈せず殺されそうになる沙奶奶
刁徳一に疑いの目を向けられる阿慶嫂だが沙奶奶をおとりにする提案をして解放させることに成功
第八場 奔襲
郭建光は回復した傷病兵らを率いてときをうかがう
第九場 突破
胡傳魁の結婚披露宴の隙をついて郭建光らは阿慶嫂と合流して奇襲をかける
第十場 聚奸
敵を一網打尽にして勝利 翻る紅旗を背景に終幕
鑑賞（２）
第四場 智斗
1977年資料映像
阿慶嫂：趙燕侠
刁徳一：馬長礼
胡傳魁：周和桐
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