2024/04/27更新
知略をもって威虎山を奪取する
人民解放軍の活躍を描く
革命現代京劇《智取威虎山》Zhiqu Weihushan
あらすじ
1946年冬、旧満州の東北。
国民党を後ろ盾に武装した山賊たちが威虎山を本拠地にして民家を脅かしていた。
共産党率いる人民解放軍の偵察隊長・楊子栄は山賊に身をやつして威虎山に潜入して信用を得るようになる。
楊子栄は密かに参謀長・少剣波と連絡を取って急襲し、山賊たちを一網打尽にする。
主な登場人物
楊子栄 Yang Zirong (武老生)
人民解放軍の部隊の偵察隊長。
捕らえた奶頭山の山賊・欒平から得た秘密の地図を手に「胡彪」と名乗って威虎山に潜入。頭目の座山雕から副隊長に任じられて「老九」と呼ばれるようになり、情報を密かに部隊へ送る。
護送中に逃走した欒平によって正体を暴かれそうになるが動じることなく、すでに山賊たちから得ている信望をもとにその場を切り抜ける。
少剣波 Shao Jianbo (生)
人民解放軍の部隊の参謀長。
山賊たちに脅かされる民衆からの理解と協力を得ていく中、敵地に潜入している楊子栄の危機を察知。村民の先導のもと部隊を引き連れて、楊子栄の策略により宴で酔いつぶれている山賊たちを急襲する。
李勇奇 Li Yongqi (浄)
威虎山の鉄道整備に従事する労働者。
妻子を威虎山の山賊たちに殺されてかたき討ちに乗り込もうとした折、少剣波が率いる部隊に遭遇。協力することになる。
常宝 Chang Bao (旦)
猟師の娘。山賊たちに祖母と母を殺された過去があり男装している。山中で楊子栄に助けられ、人民解放軍と知って山賊たちの非道を訴えて父と共に協力する。
欒平 Luan Ping (丑)
奶頭山を根城にする山賊のひとりで連絡員。
人民解放軍の部隊により武装解除されて捕らえられ、楊子栄から取り調べを受ける。護送中に逃走して威虎山に逃げこみ、潜入中の楊子栄の正体を明かそうとする。
座山雕 Zuoshandiao (浄)
威虎山を根城にする山賊の頭目。
国民党と連携する一方、秘密の連絡拠点を記した地図を手に入れて一帯を支配する野望を持つ。
データ
曲波(1923-2002)による小説『林海雪原』の一部を舞台化して上海京劇院が上演。改編を重ねて1967年に「八大様板戯」(八つの模範的演目)のひとつになる。
みどころききどころ
第一場 乗勝進軍
第二場 夾皮溝遭劫
第三場 深山問苦
第四場 定計
第五場 打虎上山
第六場 打進匪窟
第七場 発動群衆
第八場 計送情報
第九場 急速出兵
第十場 会師百鷄宴
厳選してふたつ
第五場 打虎上山
主人公・楊子栄が雪原を駆け、林を抜けて威虎山へ登っていくさまを演じる場面。
軽快なリズムとともに、うたいながら馬鞭を振り回して舞うノリノリのところです。楊子栄の動きが見事で、演じる役者としてもみせどころ。唱演会でもよくこの部分の唱がうたわれます。
第九場 急速出兵
人民解放軍の部隊が吹雪の中を前進していく場面も迫力です。
わたしが観た舞台演出の中には、白い沙の中幕の向こうに照明がボーッと光るところを俳優達が次々と踏み台を使って空高く舞い上がる圧巻のものがありました。
鑑賞
1970年資料映像
潜入している楊子栄の正体が暴かれる危機に瀕するも堂々と切り抜ける場面から
こちらは于魁智がうたう「打虎上山」の場面です
1992年資料映像
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