新編京劇連台本戯《狸猫換太子》第二本
全三話。第一話の続きです。芝居は整理、改編されています。こちらは1998年上演当時の内容を記しています。
第一話はこちら
あらすじ
冷宮の焼け跡から出てきた死体は男のものであったことから、李妃が逃げたのではないかと疑いを持つ劉妃。腹心の郭槐に命じて追手を差し向ける。
年をとって体調がすぐれない皇帝は道教にのめりこみ、宮殿の奥にこもって日々練丹作りに励んでいた。
そこへ皇太子が李妃の命乞いをしに飛び込んでくる。その際、不意に練丹をひっくり返して皇帝直筆のまじないの書を破ってしまう。
皇太子の出生に疑惑を持つ劉妃は、皇帝の怒りに乗じて皇太子は皇帝になる器ではないから別の者を立てるべきと進言する。
劉妃のいいなりの皇帝は、陳琳を召し出して相応しい者はいないか訊ねる。
李妃と皇太子を守る決意の固い陳琳は、劉妃の差し金だと察していろいろな者の名を挙げた上で適当な者がいないと答える。いっそ八賢王・趙徳芳に皇位を譲るよう奏上する。
それだけは絶対に避けたい劉妃は、皇太子を廃位にすることはあきらめる。しかし、陳琳に懐いている皇太子を自ら教育しようと自分の宮殿に移すことにする。
一方、李妃はなんとか逃げ出したものの容赦なく追手が迫ってくる。
絶望しかけた矢先、偶然出会ったみなしごの範仲華にかくまわれる。そこは孤児たちが身を寄せ合って住んでいる古い寺だった。押し入ってきた追手を孤児たちが機転を利かせて追い出す。
行き場のない李妃は、請われるまま孤児たちの親としてともに暮らしていくことを決心する。
追手は李妃を見つけ出せなかったものの、腰牌(出入り許可証)を見つける。それは李妃を逃がすために渡した陳琳のものであった。
そのとき陳琳は病気と称して家に引きこもっていた。
陳琳を慕う皇太子が密かに見舞いに来ていたところ、皇帝の命令としてやってきた郭槐が陳琳を捕らえる。
陳琳が捕らえられてまもなく処刑されることを知った八賢王・趙徳芳は、宮殿の奥で相変わらず練丹作りに励む皇帝に妙薬を持ってきたと言って無理やり謁見する。
八賢王・趙徳芳は捕らえられた陳琳を召し出させて共にすべての真相を皇帝に明かす。そして元凶の劉妃を断罪するよう奏上する。
体調が悪く懐疑心の強い皇帝は真実を受け入れ難く激昂する。
陳琳は皇帝に自らの潔白と決意を証明しようと、高温で真っ赤になった練丹作りの炉を掴む酷刑を甘んじで受ける。
苦悶に満ちた顔で焼け爛れた両手をさらす陳琳の姿を見た皇帝は、とうとう真実を受け入れて劉妃を裁くために朝臣を召集する。
臣下たちは集まった。
劉妃もその場に呼ばれている。
皇帝の発する言葉を皆、待ち受けている。
しかし、何も言わず黙ったままの皇帝。
劉妃が近寄り呼びかけた瞬間、皇帝の体が玉座から崩れ落ちた。皇帝はすでに憤死していたのだった。
崩御を告げる総管の声に頭を垂れる群臣の中、驚きと絶望がにじむ顔の八賢王と、両手に包帯を巻いた陳琳の呆然とした姿があった…。
次回完結。第三本へつづく!
解説
体調がすぐれず道教にのめり込んでいる皇帝・趙恒。
皇帝の政治への無関心をよいことに保身のため謀略を巡らせる劉妃。
無邪気で素直に育つ皇太子。
全三話を上下の二話として改編されるにあたり割愛されていますが、それぞれの姿が丁寧に描かれており、李妃を演じる老旦・胡璇の孤児たちと共に生きていく決意をうたうところはききどころ。
八賢王・趙徳芳の告発と陳琳の意を決した行為で盛り上がりを見せてまさかのラスト!
観劇データ
「’98長安・天蟾京劇月」
新編京劇連台本戯《狸猫換太子》第二本
1998年12月28日(月)19時30分 北京・長安大戯院
上海京劇院
編劇:黎中城 劉夢徳 程惟湘 董紹瑜
導演:董紹瑜
芸術顧問:王正屏
副導演:陳金山
表演指導:章安娜 于永華
唱腔設計:金国賢 李寿成
作曲配器:金楽華
打撃楽設計:金正明
布景設計:徐福徳
灯光設計:孫新華
服装・造型設計:翁麗君
旁白配音:陳醇
楽隊指揮:金楽華
鼓師:金正明
琴師:李寿成 範文碩 胡雅斌
舞台監督:高韵洪
劇務:倪順福
キャスト
陳琳:陳少雲
李妃:胡璇
趙恒:唐元才
劉妃:陸義萍
郭槐:張達発 任広平
趙禎(太子):何蕾
範仲華:虞偉
八賢王:徐建忠
大臭子:尹志強
二[女+丑]子:陳蔚
小豆子:沈美蓉
牙将:張志清
班頭:任広平 童航
郭安:奚維堂
鑑賞
2015年香港・マカオ公演の映像です
前半は皇太子を八賢王のもとへ連れ去るまで
後半
1:01:37~ 第二本の内容になります
いわゆる「炮烙の刑」を甘んじて受けた陳琳は、背中に皇帝直筆で赦免する意味の「赦」の文字を入れられます。
次回、第三話完結です。