中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

京劇の登場人物と衣装 孫悟空

 

 三蔵法師孫悟空猪八戒沙悟浄らをお供に連れて西天取経の旅に出る物語『西遊記』。

 三蔵法師と出会う前の天宮で大暴れする京劇《大鬧天宮》での衣装をみていきましょう。

 

 

 孫悟空の臉譜は「紅象形臉」、「象形反葫芦猴臉」。「象形臉」とは神仙や精霊など特徴や特性を色やデザインで表したもの。「葫芦」とは「瓢箪(ひょうたん)」のことです。

 

 

美猴王

 「草王盔」を被り、額の中心には横たえた三日月の形の黄色い飾り「黄月牙鏟」。この「鏟頭」(別名「鏟刀頭」)は結紐を誇張した飾りです。頭部左右には雉の羽「翎子」、後頭部には白くて長いホコホコした「狐尾」を垂らします。

 

「雉翎」「狐尾」はこちらでもご覧いただけます

 

 水袖がついた黄色の蠎「黄蠎」、襟には「靠領」、腰には硬質の円形の帯「玉帯」、黄色いズボン「黄彩褲」を穿きます。

 靴は「厚底靴」ですが、一般的には6cmから12cmほどの白い厚底に黒い長靴状のものです。でも孫悟空は特別。黄色で毛並みが描かれている「猴旋紋」がついている「黄色猴厚底靴」。

黄色猴厚底靴

猴旋紋

 

 「斉天大聖」と名乗った時は「黄硬靠」に「紅靠綢」、「彩褲」を穿いて靴は「黄色猴厚底靴」。武器は竜宮から手に入れた「金箍棒」です。

 

「硬靠」はこちら

 

 仙桃や金丹を盗み食いする場面では「制度衣」という衣装です。圓領(丸型の襟ぐり)、大襟(上前おくみ)、搾袖(削ぎ袖・筒袖)、黒い円に龍紋の刺繍があり、黒い縁取りには金色の毛状紋様があります。

 長さ一丈八尺幅三寸から四寸両端に房飾りがついている「鸞帯」(またの名を「大帯」)を腰に巻きます。

 靴は黄色で毛並みの模様入りの底が薄い「猴薄底靴」を履きます。

 

制度衣

 

 他にも仲間の猿たちと同じような「猴衣」を纏います。

 圓領(丸型の襟ぐり)、大襟(上前おくみ)、搾袖(削ぎ袖・筒袖)、走水(短い飾り布)が裾部分に二層ついています。さきほど触れた毛並みを表す「猴旋紋」が施されており、ポンポンがついている「猴帽」を被って「猴薄底靴」を履きます。