中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

京劇演目紹介 賀歳京劇連台本戯《宰相劉羅鍋》Zaixiang LiuLuoguo 第三本・第四本[初演2001年1月・2月]

2024/02/24更新

 

人気のテレビドラマを京劇の舞台化

賀歳京劇連台本戯《宰相劉羅鍋》

 

 

 

2001年第三話・第四話のパンフレット

 2000年の春節に上演された第一話と第二話に続いて、一年後の2001年の春節に第三話と第四話が上演されました。

第一話と第二話はこちら

 

解説

 制作陣も概ね昨年と同じくしていますがキャストは一新。

 三話四話共に台湾在住の李宝春が主役・劉墉を演じます。李宝春は文武に長けた老生・李少春(1919-1975)の息子です。

 

 

 第三話では劉墉の妻に梅派(梅蘭芳)青衣・李勝素が登場。上品な安定感があります。

 乾隆帝は馬派(馬連良)老生・朱強。昨年は南の周信芳、今年は北の馬連良と違う芸風が見られるのは楽しくなります。

 

 

 第四話では偽物の乾隆帝に李宏図、本物には江其虎。今まで乾隆帝は老生が演じていましたが、コミカルさに加えて後半の《三堂会審》になぞらえた流れにあたって実に巧みで見事な配役。

 春娘には程派(程硯秋)青衣・郭偉。あらたに程派の味を加えてくるところに更なる広がりを感じさせます。

 

 

 後半の審議する場面はさながら《三堂会審》。温故知新、換骨奪胎の演出です。

制作

脚本 [三話]陳亞先 周国興 [四話]陳健秋

総合演出 林兆華

演出 李六乙

作曲・唱腔設計 朱紹玉

照明 易立明

衣装 成曙一

主なキャスト

[三話] 李宝春 李勝素 朱強 楊燕毅 馬増寿 黄柏雪 李英俊 葉江翔

[四話] 李宝春 李宏図 江其虎 劉異龍 郭偉 黄柏雪 李元真 劉建元 李英俊

琴師:燕守平 鼓師:楊広桐

 

あらすじ

第三本 金磚記

 春節を祝うにあたって和珅は国庫から銀六百万両を予算にあてようとする。それを聞いた劉墉乾隆帝に民情を考慮しない無駄使いだと奏上する。

 しかし和珅が劉墉の聞き間違いだとしらばくれたために乾隆帝の怒りを買って処分を受ける。

 都落ちする劉墉が馬に荷物を載せて運ばせているところ、和珅から取り調べを受ける。荷物が金塊だと知った和珅は劉墉を捕らえて押収して乾隆帝に奏上する。

 劉墉は先祖代々貯めてきたものだと主張し、和珅は賄賂で隠し持っていたものだと訴える。乾隆帝が改めて中身を調べてみるとそれはすべて偽物の金塊であった。

 最初から偽物を運んでいた劉墉の計略を乾隆帝はいち早く見抜くが、証拠もないので和珅に金塊の賠償を命じる。

 和珅は仕方なく応じるがどうしても足りず、召使いたちにまで有り金を出させて補おうとする。哀れに思った乾隆帝は和珅の召使いたちに年越しのためにとボーナスを与える。そして劉墉は和珅の差し出した金を江淮の堤防工事に当てることを奏上する。

 

劇場に置かれた紹介パネル

 

第四本 真偽乾隆

 乾隆帝が宮殿での生活を退屈していたところ、和珅は妓楼の女を描かせた油絵を献上する。興味を持った乾隆帝は自分にうりふたつの書生・周慶書を代わりに朝政へ出席させて遅くまで夜遊びに出かけるようになる。

 奏上は聞くもののその場で詔を発することなく書斎にひきこもってしまう乾隆帝劉墉は疑問を抱き、油絵を手がかりに乾隆帝の夜遊びの真相を突き止める。

 自分の存在を秘密にされて外出もままならない周慶書は憂さ晴らしにこっそり街に出たところ、油絵のモデルである春娘と出くわす。お互い事情がわからずに騒ぎとなり、乾隆帝と劉墉、和珅の三人がこの件を審議することになる。

 乾隆帝は周慶書を自分の弟として春娘と結婚させることにする。

 

第五話・第六話はこちら