中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

コラム 名舞台を残す 中国京劇音配像シリーズ

2023/09/02更新

 

 留学していた当時、京胡の音色、曲牌「小開門」にのって始まる「中国京劇音配像国粹」という番組が中央電視台の戯曲チャンネルで放送されていました。テレビをつければ大抵それ、再放送も幾度と知れず。他の総合チャンネルや国際チャンネルでも時々見ることができました。

 これは芝居好きで有名な共産党幹部・李瑞環が名優・張君秋をメインの芸術顧問に迎えて開始したプロジェクトです。1995年から始まり、張君秋が亡くなった後も引き続き作られました。

 

 

 1950年から60年代中頃、名優たちが綺羅星の如く舞台を彩っていた黄金期を中心として残っている録音に現代の俳優が合わせて演じて再現したものです。当時演じていたご本人自身があてることもありますが、たいていはその役者の流派を受け継ぐ弟子たちが演じています。張君秋の録音には王蓉蓉、張萍、董翠哪と今まさに活躍している張派の役者たちがあてています。

 テレビはお手軽に見られるので、視聴者の間では一時期話題になりました。新聞では視聴者から投票で「ベスト俳優賞」を決めたり、視聴者からの反響や意見もとり上げていました。「台詞も唱詞もすべて字幕をつけるべきだ」「秦香蓮(京劇《秦香蓮》の主人公)は食うにも困りに困って上京してきたのに派手な指輪をしているのはおかしい」とさまざま。

 

 

 大体がVCDになって店頭で売られていました。VCDとはビデオCDのことです。ソフトによってはパソコンでも見られたり、機種によっては日本のDVDプレーヤーで見られることがあります。発売当初は一枚30元、一通りで三枚組なら90元と高額でしたが、一枚8元から10元と約三分の一の価格で以前より安くなっています。その資料的価値は高いと言えます。

中国京剧像音像集萃VCD

 「中国京剧像音像集萃」いまではユーチューブのCCTV戯曲チャンネルでご覧いただけます。

www.youtube.com