中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

簡単解説:京劇のことば辞典 その2

2002/09/01初出 2023/01/10更新

 

 

票友

 自らうたい、演じて芝居を楽しむアマチュア

 清代初め、八旗(清朝満州族の軍隊組織と戸籍編制)の子弟が宮廷の発行する「龍票」で各地に赴き、子弟書(「鼓詞」から派生した歌物語)をうたい演じた。これが宣伝目的で無料だったことから、後にノーギャラで演じるアマチュア俳優のことを票友というようになった。

 

票房

 京劇愛好者の組織のこと。

 清末から民国時代初期においては北京の「翠峰庵」、「春陽友会」などが有名であった。

 

下海

 アマチュアが正式に劇団に入ってプロになること。

 一般に役者は社会的に地位が低く、芸を磨く修行も厳しく、その浮き沈みが激しい人気商売である世界に敢えて飛び込んでいくというニュアンスがある。

 アマチュアからプロに転向した名優は数多くいる。幼い頃に厳しい基礎訓練を受けていないために立ち回りなどの動きは必然的に劣るものの、高度な教育を受けて教養があることから大体「文戯」を得意とする特徴がある。役者自身が芝居に手を加えて合理的、芸術的に改良したり、唱詞にこだわるなど、教養の深さが芸風に反映されている。

 

客串

 非業界人が客演すること。

 昔は一般に、役者は賤しい職業というイメージが強かったのでノーギャラが基本。

 

文戯

 唱、台詞、仕草が中心の芝居。

 

武戯

 立ち回りが中心の芝居。

 

堂会

 権力者やお金持ちなどが祝い事や年中行事などで劇団を呼んで公演させること。

 

科班

 昔の俳優養成所兼児童劇団

 

富連成(喜連成)

 科班は引退した俳優が開く個人的で一時的な色合いのものであったが、「富連成」は本格的な学校としての性格が強く、梨園の重鎮・蕭長華を筆頭に教師も充実し、四十年余りも続いた。

 最初は「喜連成」という名であったが、途中でスポンサーが変わって「富連成」と改名。喜、連、富、盛、世、元、韵の七クラスで七百人近くの学生を有し、「慶」の字科を最後に終わりを告げた。

 馬連良は「連」の字、譚富英は「富」、裘盛戎は「盛」、袁世海は「世」、譚元寿は「元」の字科の学生である。