中国京劇雑記帳

京劇 すごく面白い

コラム 京劇の楽隊

2023/09/23更新

 

簡譜

 舞台を作っているのは演じている俳優だけではありません。楽隊が舞台を盛り上げ、俳優を動かしています。

 鼓板、小鑼、大鑼、鐃鈸の打楽器の楽隊は立ち回りの場面での中心となることから「武場」、京胡、京二胡、月琴、三弦の弦楽器と管楽器の笛、笙、嗩吶、海笛子、雲鑼などの楽隊は唱や仕草の場面で中心となるので「文場」と呼ばれます。

 行当(役柄)をはじめ、芝居や流派、俳優によってつけられるそれぞれの味の違いが発展していくことで流派が生まれていきます。

 京胡を操る琴師。名優には名琴師がつきもの。彼らは自分の琴師がいなければ、いくら請われてもうたわなかったそうです。練習するにしても、新しい芝居で新しい唱を作るにしても自分のうたい方を知り尽くしている琴師は俳優にとってとても大切です。今でも一流と呼ばれる役者には決まった琴師がいます。

 長安大戯院(2002年当時)の劇場入り口中央の壁には、昔の芝居の様子が描かれた絵を大きく模写したものがあります。それを見ると楽隊は昔、舞台中央に位置していたのがわかります。現在、楽隊は舞台向かって右にいて「文場」が見えます。

 あるとき、終演後スーツ姿のサラリーマンらしき方が「あれ(楽隊)は客に見せるべきものじゃない。隠すべきだ」と仰ってるのを耳にしたことがあります。機会があればぜひご覧いただきたい。少なくとも伝統劇において楽隊は見どころのひとつ。

 名優が集まる公演や演唱会では、琴師が入れ替わり立ち代り演奏します。観客は舞台向かって右手の楽隊の席に注目していて、スタンバイする琴師を見て次は誰が出るかを知ります。琴師の姿を目にしただけで待ってましたとばかりに「好!」と声がかかることも。

 演唱会では堂々と舞台上で演奏するので普段一番奥で見えない打楽器を操る司鼓の動きまでよく見えて面白いです。立ち回りで叩く鼓師の腕の筋肉は実にモリモリしていて、心なしか目つきが鋭いひとが多い気がします。

 

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