2024/03/29更新
今回は文化大革命に発展を遂げた「様板戯(模範的な芝居)」、革命現代京劇についてその内容を見ていきましょう。
大体において物語は勧善懲悪、共産党の指導のもと一般民衆が一致団結して敵を倒す!といった感じです。
時の移ろいと共に演じる俳優たちも世代交代しているからでしょうか、客席は落ち着いた雰囲気に変わってきた印象を受けます。でも《紅灯記》オリジナルキャスト再演のときは別。お客さん熱狂してました。
共産党をたたえる唱詞、台詞が盛りだくさんです。
例えば《杜鵑山》のヒロイン・柯湘は「あなた(毛沢東のこと)を思うと心が落ち着いて力がみなぎってきます」とうたって困難に打ち勝とうと自らを奮い立たせます。
《沙家浜》では沙奶奶(沙おばあちゃん)がうたう唱詞では、「共産党は太陽だ!」とか「共産党がなかったら私たちは家も失ってみんな野垂れ死にしていた!」とか迫力のあるものが実に印象的です。
また、主人公が「同志們(同志たちよ)!」と呼びかけるさまも気迫がみなぎり、絶対に負けないぞ!みたいな決め台詞には客席から「好(いいぞ)!」が飛びまくります。
悪役はいかにも悪役で、なかば道化でもあります。鳩山さん、黒田さん、亀田さんは悪役・日本の軍人として名前が出てきます。また、主人公側から「奸漢(裏切者)」が出てきて物語を盛り上げます。
ただ、怖いのが飛び道具としてピストルがよく使われているところ。発砲するとこれまた大きい音がしてびっくりします。
労働者・一般民衆、彼らを搾取する敵、そこへ共産党員が登場、暗躍して民衆を指導し、一致団結決起して敵を急襲(ここは大立ち回りが繰り広げられて)、最後には皆手に手を取って背後には紅旗が翻って終幕。さながら天安門広場にある労働者たちの銅像の姿が舞台の上に表れます。
「おまえはいったい何者なんだ?!」「中国共産党だ!」という場面は理屈抜きでなにやらスカッとしたものがあります。
《紅灯記》1970年資料映像
李鉄梅:劉長瑜(当時28歳)
李奶奶:高玉倩(当時43歳)
鉄梅が自身の出生について知り心を振るい立たせる場面
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