2024/03/19更新
後宮へと望む皇帝を前にして
狂ったふりを押し通す貞女
梅派(梅蘭芳)の名作のひとつ
あらすじ
秦代。
二代目の皇帝・胡亥 Hu Hai に仕える趙高 Zao Gao は、ある日、皇帝に鹿を馬だと言って献上する。それを目にした諸侯は趙高を恐れて鹿を馬だと答える。忠臣の匡洪 Kuang Hong だけは鹿だと答えて趙高の茶番に怒りをあらわにする。
匡洪を邪魔に思った趙高は、匡洪が皇帝から賜った一振りの剣・宇宙鋒を盗み出し、それを使って刺客にわざと皇帝を狙わせる。その宇宙鋒を証拠として皇帝暗殺未遂の罪を着せられ、匡洪は一族皆殺しとなる。
匡洪の息子・匡扶 Kuang Fu のもと嫁いでいた趙高の娘・趙艶蓉 Zhao Yanrong は、匡扶を逃がして趙府にもどる。趙府を訪れた皇帝は、趙艶蓉が美しいのを見て后妃に望み、後日後宮に入れるように趙高に命じる。
どうしても従いたくない趙艶蓉は、追い詰められて気が触れたように演じる。後日皇帝に召し出された後も、狂ったふりを押し通す。皇帝は趙艶蓉を後宮に入れることをあきらめる。
趙艶蓉(趙高の娘) 旦
趙高(右丞相・趙艶蓉の父) 浄
秦二世(秦朝皇帝) 小生
啞奴(趙艶蓉の侍女) 旦
ポイント
《一口剣》、《六義図》。
梅蘭芳の代表作。京劇のほか漢劇の陳伯華、豫劇の陳素真が特に有名。ほかに徽劇、秦腔、河北梆子、川劇、越劇などあり。
侍女に時折、正気の苦悶の表情を見せながら自らを奮い立たせて狂気を演じる様がみどころ。髪の乱れ、冠や衣裳の傾きなどの見栄えのほか、声色、水袖捌き、歩き方の演技には歪みの中にも美しさを感じさせます。
鑑賞
中国京劇像音像集萃 京劇《宇宙鋒》
天津京劇院の王艶が趙艶蓉を演じています
後半のみどころは38分頃「我要上天」×三回「我要入地」×三回あたり
57分頃からの「金殿」の場面
こちらは王艶が演じる尚派(尚小雲)の芝居
梅蘭芳と名を連ねる四大名旦のひとり•尚小雲の狂う演技をどうぞ
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