恩を仇で返す不義理者に正義の鉄槌を
荀派(荀慧生)の名作のひとつ
あらすじ
明代。書生の莫稽 Mo Ji は行き倒れていたところを物乞いで生計を営む金松 Jin Song と金玉奴 Jin Yunu の親子から豆汁の施しを受ける。それが縁で莫稽は金玉奴と結婚する。
その後、莫稽は官吏登用試験に受かり江西徳化県令に任じられる。妻として金玉奴の出自を疎ましく思った莫稽は、移動中の船から金玉奴を突き落として金松を追い出す。
川に流されていた金玉奴は江西巡撫・林潤 Lin Run に助けられる。事情を聞いた林潤夫妻は金玉奴に感銘を受けて養女として迎え、金松の行方を探しあてる。
県令として赴任してきた莫稽は上司にあたる林潤のもとへ挨拶に訪れる。莫稽は林潤から娘との縁談を持ち掛けられて喜んで受ける。
花嫁のもとへ訪れた莫稽はさんざん棒で打ち据えられる。花嫁の正体は金玉奴。金松、林潤夫妻が一堂に会し、莫稽は罪をさらされて罰を受ける。
金玉奴(金松の娘)花旦
莫稽(書生・のちに江西徳化県令)小生
金松(金玉奴の父・物乞い)丑
二杵(金松の手下)丑
林潤(江西巡撫)老生
林夫人(林潤の妻)老旦
ポイント
旧名《鴻鸞禧》、別名《棒打薄情郎》《豆汁記》。
もともとの脚本は善良で正直な金玉奴が不義理で自分を殺そうとした莫稽を許して復縁する内容。「一女不可二夫、必得従一而終」女性はひとたび結婚したら再婚せず一生従い尽くすものという封建的な考え方を宣伝するものであった。
善悪不明で大衆的にもカタルシスを得られずすっきりしないことから、荀慧生が悪をくじいて正義をくだす内容に改編。
鑑賞
中国京劇像音像集萃 京劇《金玉奴》 2時間30分9秒
上海京劇院
メインキャスト 金玉奴:熊明霞
莫稽:金喜全
金松:金錫華
司鼓:金正明
操琴:周志良
四大名旦のひとり荀慧生について
荀派といえばこの名作
花旦といえば
心変わりを描く「負心戯」の芝居といえばこちら