2024/06/15更新
乱世の奸雄との決裂
人気の余派の代表作
あらすじ
後漢末。
黄巾の乱ののち軍事力を背景に台頭した董卓が宮廷の実権を握り献帝をないがしろにしていた。
中牟県令の陳宮は曹操を捕らえたものの志に感服し、官職を捨ててついていく決心をする。
逃亡中、曹操は父の旧友の呂伯奢と出会い招かれる。呂伯奢はふたりをもてなすために家人に料理を用意するよういいつけ酒を買いに出かける。
料理のために刀を研いでいる家人たちの会話を聞いた曹操は、闇討ちにあうのではないかと疑心暗鬼に駆られて皆殺しにする。
陳宮は驚愕しながらその場を離れる曹操についていく。途中、遭遇した呂伯奢までも口封じのために曹操は殺してしまう。
あまりにも残忍で凶悪な曹操に失望する陳宮。宿泊先で寝入っている曹操を殺そうとするが思いとどまり、曹操を非難する詩を残して去るのであった。
主な登場人物
陳宮 老生
曹操 浄
呂伯奢 生
データ
別名《捉放宿店》、《中牟県》、《陳宮計》。
老生と花臉が主演の芝居。譚鑫培、余叔岩、王少楼、楊宝森、孟小冬、郝寿臣、王泉奎、裘盛戎などによって演じられてきたことで知られている。
その中でも「譚派(譚鑫培)」を基礎に発展させた「新譚派」の中でも更に芸風を確立させた余派(余叔岩)の代表作となっている。
ポイント
「寧(むし)ろ人我に負(そむ)くとも我人に負(そむ)くことなかれ」
横山光輝のマンガ『三国志』ではわかりやすいセリフで、曹操の性格や考え方がよく表れている名言です。
「俺の成すことは正しい。俺の言うことは正しい。俺が天下に背こうとも、天下の人間が俺に背くことは許さん」
曹操のこの言葉を聞いて陳宮が愕然とする場面と宿先で思案する場面の唱がききどころ。
鑑賞
陳宮:関正明
曹操:尚長栄
三国志の芝居はこちら